会社をたたむ方法(事業承継、休眠、解散、清算の違い)
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今回は、会社をたたむ方法について記載させていただきます。
様々な要因によって会社をたたむことになった際に、どのような選択肢があり、どのような手続きが必要になるのかを紹介いたします。会社をたたむ際に取る選択肢として主に挙げられるのは以下の3つです。
1事業承継
事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことです。以前は、自分の子供に引き継ぐ親族内承継が一般的でしたが、最近では第三者に引き継ぐM&Aを採用する企業も増えています。
メリット…M&Aで譲渡する場合、株式の譲渡代金を受け取ることができます。
デメリット…後継者に引き継ぐ場合、後継者の育成を始め、引き継ぎに時間がかかる可能性があります。
2休眠
休眠とは、法人としての事業活動を一時停止することであり、活動は停止しますが会社自体は消滅しません。その為、会社は存続し続けますが、一定の期間内で事業を行わない状態となります。この期間中、会社は法的に存在し続けますが、営業活動や取引は停止されます。
メリット…休業届を提出するだけで手続きが完了します。事業再生に向けた時間を確保する際などに有効です。
デメリット…税務申告は必要であり、無申告の場合、青色申告が取り消されるなどの不利益が生じる可能性があります。
3解散・清算
解散とは、株主総会の決議や破産開始手続きの開始などにより発生し、法的に会社を消滅させることです。
解散手続きには、会社法で定められた手続きが必要です。株主総会において解散の決議が行われ、その後に必要な手続きを進める必要があります。解散後には後述する清算手続きが行われ、残存資産や債務の整理が行われます。
また、解散となる要件としては他にも定款で定めた存続期間の満了や、解散事由の発生等が挙げられます。
メリット…清算まで行えば、決算申告や納税を行う必要がなくなります。
デメリット…経営者の意思で自由に行えるわけではなく、会社法で定められた要件に従う必要があります。
解散手続きは煩雑であり、その後に清算を行わなければならないため、多くの時間と費用がかかります。
清算とは、前述した解散後に行われ、会社解散後に残っている債権債務を整理する手続のことです。
・解散及び清算は一般的には以下の順で行われます。
1. 解散決議
まず、株主総会において、特別決議(議決権の3分の2以上が必要)で解散を決議する必要があります。
2. 解散・清算人の選任
解散が決議されると、清算人が選任されます。清算人は、会社の財産を整理し、債権を弁済し、残余財産を株主などに分配する責任を負います。
3. 清算事務
清算人は、以下の清算事務を行います。
・財産目録の作成:会社の財産の種類、数量、価額を調査し、財産目録を作成します。
・債権者の公告・催告:官報に公告し、債権者に債権を申し出るよう催告します。
・債権の弁済:確定した債権を弁済します。
・財産の売却:換価できる財産を売却します。
・税務申告:解散確定申告書及び清算確定申告書を提出します。
・残余財産の分配:すべての債権が弁済された後、残余財産を株主などに分配します。
4. 清算結了
清算事務が完了すると、清算人は株主総会に報告し、承認を得た上で、法務局に清算結了の登記を申請します。清算結了の登記がされると、解散・清算手続きが完了します。
規模により大きく異なりますが、専門家の依頼費用や登記費用などで多額の費用がかかるため、資金を用意する必要があります。
まとめ
・経営者が高齢になってしまった、債務超過を解消できる見込みがない、信頼できる後継者がいないなど、会社をたたむ理由については会社ごとに様々です。
たたむ理由がそれぞれ違うことに伴い、適切なたたみ方も変わってくる為メリット、デメリットを比較検討する必要があります。
ご参考にして頂けましたら幸いです。