会社設立時の資本金の払込み方法と時期-失敗しないための注意点-
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目次
- 会社設立時における資本金の払込時期やタイミング
- 1-1 資本金とは何か?
- 1-2 資本金の払込みをするするタイミングは?
- 資本金の払込方法とその注意点
- 2-1 銀行への振込と入金での資本金払込みの手順
- 2-2 ネット通帳の利用する際の資本金払込み手順
- 資本金に関する税務上の注意点
- 3-1 資本金1億円以下で会社設立をするメリット
- 3-2 設立時の資本金が1,000万円未満の時のメリット
- 資本金の払込みに関するFAQ
<はじめに>こんにちは、ミネルバ税理士法人です。このブログでは、「会社設立」や「起業」に関するノウハウやポイントを中心に分かりやすくご紹介しています。今回は会社設立時の資本金の払込みについて整理してみました。ぜひ、参考にしてください。
会社設立時における資本金の払込時期やタイミング
1-1 資本金とは何か?
資本金とは、会社の事業を回すための元手になる資金のことです。株主が事業を進めるために出資した額のことをいいます。
1-2 資本金の払込みをするするタイミングは?
払込みをするタイミングは、基本的に定款認証後に行います。定款作成日より前に払込みをしてしまうと認められないので注意しましょう。
資本金の払込方法とその注意点
2-1 銀行への振込と入金での資本金払込みの手順
① 銀行口座を用意する法人の口座は会社設立前には取得できません。そのため、今まで使用していた発起人の口座を用意します。口座残高の有無は問題とならないため0にする必要はありません。発起人が複数いる場合は、いずれか1人の銀行口座を利用することになります。
② 資本金を振込む口座にお金を入れた人が分かるように振込をします。そのため、発起人が1人の場合は振込か預入、複数の発起人がいる場合は必ず振込で手続きをしなければいけません。預入は口座にお金を入れた人の名前が通帳履歴に記載されないため発起人が2人以上の場合利用できません。発起人の誰が資本金を口座に入れたのか分かるようにしましょう。
③ 資本金を振込んだことが分かるものを用意する
通帳がある場合、下記3点を印刷します。
・通帳の表紙・通帳の表紙の裏面 ※通帳の名義、口座番号が記載されているか要確認・資本金の振込んだことが分かる箇所
④ 払込証明書を作成する払込証明書に記載すべき事項は下記となります。製本後も見えるように、代表取締役氏名の右横と書類の端の2カ所に会社の代表印を押印します。
・払込金額の総額・払込があった株数・1株あたりの金額・日付 ※最後に資本金が振込まれた日・本店所在地・会社名(商号)・代表取締役の氏名
⑤ 通帳コピーと払込証明書を製本する
払込証明書の完成後、下記の順番で製本します。
・払込証明書・通帳の表紙のコピー・通帳の表紙裏のコピー・振込内容の記載がある通帳のコピー ※製本完了後、各ページの境目に会社代表印を割印
2-2 ネット通帳の利用する際の資本金払込み手順
ネット通帳の場合でも①~⑤の手順は同じです。通帳のコピーの代わりに、銀行名・支店名・預金種別・口座番号・口座名義人の氏名・振り込み内容を印刷して振込内容が分かるようにします。(スマートフォンのスクリーンショットを印刷でも可)複数のページに上記内容がまたがっている場合は、全てのページを印刷して製本します。
資本金に関する税務上の注意点
3-1 資本金1億円以下で会社設立をするメリット
設立時の資本金によって税金のルールが変わるので、決めるときの参考にしてください。
資本金の額が1億円以下の会社は中小法人・中小企業者(一定の要件に該当する場合は除く)とされ、法人税における優遇税制の適用があります。
中小法人・中小企業者の優遇税制は以下の通りです。
① 法人税の軽減税率原則:23.2%の税率が適用されます。
中小法人の場合:所得金額が800万円以下の部分には15%の軽減税率が適用されます。この場合、800万円を超える部分については原則通り23.2%が適用されます。
② 交際費のうち800万円まで損金算入が可能
原則:法人の支出した交際費は損金算入されません。
中小法人の場合:800万円を限度に損金算入が可能になります。
③ 欠損金の繰越/繰戻還付
中小法人以外の場合:将来の課税所得に対して相殺できる欠損金額は、繰越控除をする事業年度の控除前所得の金額に一定の率を乗じた金額が限度になります。
中小法人の場合:繰越控除をする事業年度の控除前所得全額を控除できます。
④ 一定の設備投資を行った場合の固定資産税
中小企業が一定の要件を満たす機械装置等を新たに導入した場合、固定資産税が3年にわたって半額になります。
⑤ 30万円未満の少額減価償却資産の損金算入
中小企業者は、取得した30万円未満の少額の固定資産について、年間300万円まで全額を損金に算入することができます。
⑥ 機械装置等を購入した際の特別償却
中小企業者が機械装置等に設備投資した際には、取得価格の30%を特別償却できます。
※資本金3,000万円以下の法人は取得価格の7%の税額控除が選択できます。
⑦ 中小企業経営強化税制
中小企業者で「経営力向上計画」を申請し、認定を受けた者が、経営力向上計画に基づいて機械装置等に設備投資をした場合には、取得価格の100%の特別償却ができます。
※資本金3,000万円以下の法人は、取得価格の10%の税額控除が選択可能です。資本金3,000万円超1億円以下の法人は、取得価格の7%の税額控除が選択可能です。
3-2 設立時の資本金が1,000万円未満の時のメリット
原則的に資本金1,000万円未満で新たに設立された法人については、設立1期目および2期目は消費税の納税義務が免除されます。事業年度開始日における資本金が1,000万円以上の法人は消費税の納税義務が生じるので注意が必要です。また、インボイス登録をしても消費税課税事業者になります。
さらに、法人住民税の均等割額についても影響があり、資本金額が1,000万円以下の場合には1,000万円超と比較して低くなるなどの影響があるので注意が必要です。
資本金の払込みに関するFAQ
Q.資本金の払込み時期はバラバラでも大丈夫?
A.分割での払込みも可能です。払込証明書作成時に全額の払込みがあれば問題ありません。
Q.ゆうちょ銀行を資本金の払込みをする銀行として使える?
A.ゆうちょ銀行でも払込み自体は可能ですが注意が必要です。平成27年10月1日以前に発行された通帳には住所が記載されていますが、この住所が現住所と異なる場合、ゆうちょ銀行で事前に住所変更をしておく等の対応が必要です。
Q.資本金を払い込んですぐに引き出しても大丈夫?
A.事業用の支払いなどで払込みをした後にすぐに引き出しても問題ありません。しかし、法務局で不備が見つかった際などは再度資本金の払込が必要になることもあるため、登記完了日までは再度振り込める状態にしておくと安心です。
<まとめ>今回の記事が皆様のお役に立てると幸いです。疑問点やさらに詳しく知りたいことがありましたら、ぜひお気軽にLINEの無料相談をご利用ください。ミネルバ税理士法人の専門家が、あなたのビジネスを全力でサポートいたします。