個人事業主の法人成り完全ガイド|所得800万・売上1,000万超えのタイミングと節税効果を解説 | 会社設立・株式会社設立・起業なら東京スマイル

個人事業主の法人成り完全ガイド|所得800万・売上1,000万超えのタイミングと節税効果を解説

個人事業主としてスタートした事業が安定してくると、「そろそろ会社にした方がいいのでは?」と考える場面が増えてきませんか?

売上の拡大や税負担の増加、インボイス制度への対応など、法人化を意識するきっかけは人それぞれですが、実際に踏み切るとなると判断材料が分かりにくいのも事実です。

​この記事では、法人成りの基本的な仕組みから、押さえておきたいメリット・デメリット、タイミングの目安、そして実際の手続きのステップまでを、整理していきます。

1. 「個人」と「法人」の法的な違い

1.「個人」と「法人」の法的な違い

法人成りとは、単なるビジネスの呼び名が変わるだけではありません。法律上の「人格(主体)」が根本から変わるということを意味します 。この人格の違いが、後の経営判断やリスク管理に大きな影響を及ぼします 。

法律上の「人格(主体)」の違い

個人事業主の場合、事業の主体はあくまで「自然人(社長個人)」です 。一方で、法人は法律によって作られた「法人格」という独立した人格を持ちます 。これにより、法人は社長個人とは別に、会社名義で契約を結んだり、土地や建物などの財産を所有したりすることが可能になります 。

負債に対する責任の範囲

個人事業主は「無限責任」を負います 。そのため、事業上の借入金や損害賠償が発生した際、個人の私有財産をすべて投げ打ってでも責任を果たす必要があります 。これに対し、法人は「有限責任」が原則です 。基本的には出資者(株主)は、自分が出資した金額の範囲内でしか責任を負わないため、万が一の際にも個人の生活基盤が守られやすいという法的な保護があります 。ただし、融資やリース契約で個人保証が求められるケースもあるので、実際は完全にリスクがなくなるわけでは無い点に注意が必要です。

資金管理と会計の厳格性

個人事業主は事業用資金とプライベートな支出を明確に分類することが難しいケースもあり、「事業主貸・借」という科目での柔軟な処理をすることがあります 。しかし、法人は社長とは「別人」であるため、会社のお金を社長が自由に引き出すことはできません 。たとえ社長1人の会社であっても、会社から個人へお金を移す際は「役員報酬」や「役員貸付金」として明確に区分し、厳格な仕訳を行う義務が生じます 。

税金の種類と決算期間

個人事業主には「所得税」が課され、決算期は法律で12月31日と固定されています 。一方、法人には「法人税」が課され、決算月は事業のサイクルに合わせて自由に設定することが可能です 。この柔軟性を活かすことで、繁忙期を避けて決算作業を行ったり、親会社の決算月と合わせたり、税制改正のタイミングに合わせた対策を講じたりといった戦略的な経営が可能になります 。

2. 法人成りをする5つの大きなメリット

法人成りをするメリット

法人成りには、単なるイメージアップだけでなく、税制や事業継続、リスク管理の面で非常に強力な実務的メリットがあります。ここでは、特に影響の大きい5つのポイントを深掘りします。

① 節税効果の最大化(役員報酬・退職金・所得分散)

法人化の最大の魅力は、税負担をコントロールできる手法が大幅に増えることです。

役員報酬と給与所得控除

会社が経営者に支払う役員報酬は、法人側では経費として処理できます。加えて、受け取る側は「給与」として給与所得控除の対象になるため、同じ水準の利益でも、個人事業主として事業所得として受け取る場合より、所得税や住民税の負担が軽くなる場面が多くなります。

退職金の損金算入

法人は社長自身への退職金を経費(損金)にできます。ただし、役員退職金には合理的な算定根拠が必要であり、不相当に高額な場合は損金として認められない点に注意が必要です。

所得の分散

もし家族に事務作業などの仕事を任せているなど、会社の業務に関与している実態がある場合、家族を役員や従業員にすることで所得を分散させ、世帯全体の累進税率を下げることも可能です。

② 欠損金(赤字)の繰越期間が「10年」に延長

ビジネスには波があり、大きな設備投資や不況で赤字が出る年もあります。

繰越控除の拡大

個人事業主の場合、赤字(欠損金)を翌年以降に繰り越して利益と相殺できるのは3年間ですが、青色申告の法人の場合は「10年間」にわたって繰り越すことが可能です。

長期的な安定性

10年という長いスパンで税負担を調整できるため、一時的な赤字を将来の節税に有効活用でき、経営の安定性が増します。

③ 社会的信用の向上と融資・取引の拡大

登記によって経営実態が法的に公示される法人は、個人事業主よりも高い社会的信用を得られます。

新規取引のチャンス

大手企業の中には「法人のみ」を取引条件としているケースが多く、法人化によって販路が大きく広がる可能性があります。

資金調達の優位性

財務諸表の信頼性が高まるため、金融機関からの融資審査において有利に働きます。また、株式の発行による出資を受けるなど借入以外の資金調達も選択肢に入ってきます。

④ 責任範囲の限定(有限責任)によるリスクヘッジ

万が一、事業が立ち行かなくなった際のリスク管理においても、法人は大きな利点があります。

有限責任の原則

個人事業主は事業上の負債に対して「無限責任」を負い、個人の全財産を差し出さなければなりませんが、法人の株主(出資者)は出資額の範囲内でのみ責任を負う「有限責任」となります。

プライベートの保護

これにより、事業上のリスクが個人の生活や資産に直接及ぶのを防ぐことができます(※ただし、借入時の個人保証などを除く)。

⑤ 消費税の納税義務が最大2年間免除

一定の条件を満たすことで、設立から最大2期間、消費税の納税が免除される可能性があります。ただし、インボイス登録をするといきなり消費税課税事業になるなど、注意が必要な場合もあるので専門家に相談しながら検討するのがおすすめです。

免税事業者としての再スタート

資本金1,000万円未満での設立に加え、特定期間の給与支払額や売上高などの要件を満たす場合、設立1期目および2期目は原則として消費税の免税事業者となることができます。

資金繰りの改善

インボイス制度の導入により、取引先との関係で課税事業者を選択せざるを得ないケースも増えていますが、免税メリットを最大限享受できるタイミングでの法人成りは、初期のキャッシュフローを大きく助けてくれます。

これまで支援してきたお客様の中でも、共同で事業を進めることをきっかけに法人成りを選択されたケースがあります。個人事業主のままだと、どうしても事業主と従業員という関係になり、経営上の責任が一人に偏りやすいのですが、法人化することで全員が役員という同じ立場となり、経営への関与や責任を明確にしたいと考えられたようです。

また、将来的な事業承継や事業の引き継ぎといった出口を見据えた場合にも、個人事業主より法人の方が進めやすいという理由から、早い段階で法人化を選ばれる方もいらっしゃいます。

 

3. 事前に押さえておくべきデメリットと注意点

法人成りをするデメリット

法人成りには多くのメリットがある反面、個人事業主時代にはなかったコストや制約も発生します。これらを正しく理解していないと、法人化後に「こんなはずではなかった」と後悔することになりかねません。特に注意すべき4つのポイントを解説します。

① 設立費用と維持コストの発生

会社を設立し、維持していくためには、利益の有無にかかわらず一定の支出が避けられません。

会社設立にかかる法定費用

法人を設立する際には、登録免許税や定款認証手数料などの「設立費用」が必要です。設立時には、登録免許税や定款認証などに一定のコストがかかります。株式会社なら概ね20万〜25万円前後、合同会社でも10万円程度は、最低限の法定費用として見込んでおく必要があります(会社の実印作成代や専門家への報酬などは別途)。

赤字でも発生する法人住民税(均等割)

個人事業主の場合、所得がなければ住民税の所得割はかかりませんが、法人の場合は異なります。たとえ赤字であっても、法人の「均等割」を納める義務があります。標準的には年額7万円程度ですが、自治体や事業所の所在地数、資本金区分によって金額が異なる場合があります。

② 社会保険の加入義務と実質的な負担増

法人化によって最もキャッシュフローに影響を与えるのが、社会保険料の負担です。

社会保険(健康保険・厚生年金)への強制加入

法人を設立すると、社長1人の会社であっても、役員報酬を受け取っていれば原則として社会保険への加入が法律で義務付けられます。個人事業主時代の国民健康保険や国民年金とは、制度そのものが切り替わります。

会社側が支払う保険料の負担(折半)

社会保険料は「労使折半」であり、会社が保険料の半分を負担しなければなりません。社長自身の保険料も、半分は「会社側の経費(法定福利費)」として支払うことになるため、その結果、個人と法人の負担を合算すると、国民健康保険・国民年金だけで済んでいた個人事業の頃と比べて、毎月の公的保険料の総額が増えるケースが少なくありません。

③ 事務手続きの複雑化と外部コストの増加

法人は個人事業主よりも高度なコンプライアンスと正確な会計管理が求められます。

複式簿記と複雑な決算申告

法人は複式簿記による記帳が必須であり、年1回の決算申告は非常に専門性が高いものです。個人事業主のような簡易的な確定申告では済まないため、税理士に決算・申告を依頼するためのなどのコストが発生しやすくなります。

登記事項の管理と変更手続き

本店の移転、役員の改選、事業目的の変更など、会社の基本情報に変更があった場合は、その都度法務局で「変更登記」を行う必要があります。これには登録免許税という実費に加え、手続きの手間(または司法書士への報酬)がかかります。

④ 資金の私的利用制限と役員報酬のルール

法人は「別人格」であるため、会社のお金を自由に使うことはできません。

会社の資金と個人の私金の厳格な区別

会社の銀行口座にあるお金は、たとえ社長であってもプライベートで自由に引き出すことはできません。個人の支出を会社の経費として処理するような「公私混同」は厳禁であり、不適切な出金は「役員貸付金」として税務上のリスクとなります。

役員報酬の変更タイミングの制限

社長の給与である役員報酬は、原則として「事業年度の開始から3ヶ月以内」に決定しなければならず、年度の途中で自由に変更(増減)することは認められません。利益が出たからといって急に給与を上げるなどの柔軟な調整はできないため、慎重な予算策定が求められます。

これまでのご相談の中には、法人成りについて専門家に相談せず、ご自身の判断で進めた結果、節税目的で法人成りをしたものの、想定していたほどの効果を感じられなかったケースもありました。特に社会保険料の負担は、法人化後のキャッシュフローに大きく影響するため、事前の確認やシミュレーションを行わないまま進めてしまうと、「こんなはずではなかった」と感じてしまうこともあります。節税を目的に法人化を検討する場合ほど、早い段階で専門家に相談し、全体像を整理したうえで判断することが大切です。

また、法人化した後に売上が下がったりするなどして「やはり個人事業主に戻したい」と考える方もいらっしゃいますが、その場合は休眠手続きではなく、解散・清算といった正式な手続きが必要になります。一時的な売上の増加だけで判断するのではなく、数年先を見据えて、売上や事業規模が安定して伸びていくかどうかまで含めて検討することが、後悔しない法人成りにつながります。

 

4. 法人成りを検討する「最適なタイミング」の見極め方

4.-法人成りを検討する「最適なタイミング」の-見極め方

法人成りは「早すぎるとコストだけが増え、遅すぎると節税チャンスを逃す」という性質を持っています 。最適なタイミングを見極めるための4つの主要な判断基準を詳しく解説します 。

① 利益(所得)基準:所得金額800万円の壁

最も一般的な指標が「事業所得(売上から経費を引いた利益)が800万円を超えたとき」です 。

税率の逆転

特例により現行では、中小法人等の所得800万円以下の部分は15%の軽減税率が適用されています。将来的な税制改正の動向を注視しつつ、所得税負担とのバランスを見極める必要があります。

社会保険料とのバランス

所得が800万円を超えてくると、所得税の負担が法人税を上回るケースが多くなります 。ただし、法人化すると社会保険料の負担が発生するため、税金と社会保険料を合算した「トータルの手残り額」でシミュレーションすることが重要です 。

② 売上基準:消費税の免税メリットを最大化する「1,000万円」

消費税の納税義務が発生するタイミングも、法人成りの強力な検討材料になります 。

納税義務の判定

個人事業主は「2年前の売上高が1,000万円」を超えると消費税の課税事業者になります 。

リセット効果

そのタイミングで法人成りをすると、設立した法人は原則として「設立から2期間」は免税事業者となることができます 。つまり、個人事業での免税期間が終わる直前に法人化することで、納税を最大2年間先延ばしにし、数百万円単位のキャッシュを手元に残せる可能性があるのです 。リセット効果

③ インボイス制度基準:適格請求書発行の必要性

2023年10月に開始されたインボイス制度により、売上が1,000万円以下の事業者であっても、取引先との関係で「適格請求書」の発行が求められるケースが増えています 。

免税の有無にかかわらず、すでにインボイス登録をして課税事業者になっている場合、消費税の免税メリットは薄れます 。課税事業者としての事務作業の負担が避けられなくなったことで、「このタイミングで経理体制そのものを整えたい」「消費税対応を含めて仕組み化したい」と考え、法人化を選択したり、税理士法人など専門家を頼る方が増えているのも事実です。

④ 組織拡大基準:従業員の採用と社会的信用

ビジネスを一段上のステージへ引き上げる時期も、法人成りの好機です 。

採用への影響:

優秀な人材を確保したい場合、「社会保険完備」である法人の方が求職者からの信頼が得やすく、採用率が高まる傾向にあります 。

融資と取引:

数千万円単位の融資を引く、あるいは大手企業と新規取引を開始する場合、登記によって経営実態が証明される法人は審査において有利です 。

5. 法人成りに必要な手続きと具体的な流れ

5.-法人成りに必要な手続きと具体的な流れ

法人成りの手続きは、大きく分けて「設立」「移行」「廃業」の3ステップです。

ステップ1:法人の設立準備と登記

  1. 1. 基本事項の決定: 社名(商号)、所在地、資本金、役員構成、決算月などを決め設立書類を作成します。
  2. 2. 定款の作成と認証: 会社のルールである定款を作成し、公証役場で認証を受けます(株式会社のみ)。
  3. 3. 登記申請: 法務局へ登記申請を行い、受理された日が「会社設立日」となります。

ステップ2:資産・負債の引き継ぎ(ここが重要!)

個人事業時代の在庫や備品、車両などを法人に移します。

  • 売買契約: 法人が個人から時価で買い取る一般的な方法。
  • 現物出資: 資産を資本金の一部として計上する方法。
  • 賃貸: 個人が所有したまま、法人に貸し出す方法。

ステップ3:個人事業の廃業と税務署への届出

  1. 1. 廃業届の提出: 管轄の税務署へ「個人事業の廃業届」「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出します。
  2. 2. 各種届出: 法人設立届出書、青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書などを速やかに提出します。
  3. 3. 最終確定申告: 廃業した年の1月1日から廃業日までの所得について、翌年3月に最後の確定申告を行います。

 

6. 「会社設立東京スマイル」を運営する品川エリア大手有数のミネルバ税理士法人が教える「法人成り成功の秘訣」

会社設立東京スマイル

自分で設立するよりも断然安く、安心して会社設立ができる

会社設立東京スマイルでは、ご自身で設立する場合よりも、費用を抑えて会社設立を進めることが可能です。たとえば、株式会社を一人法人・資本金50万円で設立する場合、ご自身で手続きを行うと、登録免許税や定款の収入印紙代などを含めて約20万6,000円が必要になります。

一方、会社設立東京スマイルでは電子定款を利用することで収入印紙代4万円が不要となり、さらに税務会計のご契約を前提として設立費用を5万円割引しているため、11万6,000円での設立が可能です。

→自分で設立する場合:20万6,000円
→会社設立東京スマイルで設立:11万6,000円

設立前後まで見据えた、丁寧なトータルサポート

費用面だけでなく、設立前後の不安をまとめて相談できる点も、会社設立東京スマイルの特長です。

〇本店所在地はどのように決めるの?

〇決算月や事業年度で気を付けるポイントはあるの?

〇設立から登記簿謄本の取得、法人口座開設までの具体的なスケジュールは?

〇取引先の契約を個人から法人にスムーズに切り替える注意点は?

といった、法人成りの際に悩みやすいポイントについて、専任の担当者が一つひとつ丁寧にアドバイスします。

さらに、税務署への届出の対応や法人口座の開設や社会保険の加入手続きなど、やるべき細かな作業がたくさんあります。会社設立東京スマイルでは提携している専門家と一緒に、抜け漏れなく安心して事業がスムーズに移行できるようにサポートします。

7. 法人成りに関するよくある質問

7.-法人成りに関するよくある質問

Q. 株式会社と合同会社、どちらが良いですか?

A. 取引先からの見られ方や上場など将来の選択肢を重視するなら株式会社を選ぶケースが多く、初期費用やランニングコストを抑えて小さく始めたい場合は合同会社を選ぶ事業者も少なくありません。状況に合わせた具体的なメリット・デメリットをお伝えすることができるので、お気軽にご連絡ください。

Q. 個人名義の銀行口座や契約はそのまま使えますか?

A. 原則、法人名義への変更が必要です。特に融資を受けている場合やリース契約がある場合は、事前に相手先の承諾が必要になるため注意が必要です。

Q. 設立費用は経費にできますか?

A. はい、「創立費」や「開業費」として資産計上し、将来的に任意のタイミングで償却(経費化)することが可能です。

Q. 法人成りをした場合、どのタイミングで個人事業の廃業届を出しますか?

A. 法人成りをして、税務署に法人の届出を提出するタイミングで個人事業の廃業届を出すことが多いです。どんな書類をどのタイミングで出すのかなどアドバイスしますので、安心してください。

 

8. まとめ:後悔しない法人成りのために

法人成りは、節税や事業拡大において非常に強力な手段ですが、メリットだけを見て判断するのは危険です。

設立時のコスト、社会保険の負担増、そして何より法人としての「規律ある経営」が求められます。自分にとって本当に今が法人成りのタイミングなのか、どのような形態が最適なのかを判断するには、専門家からアドバイスをもらいながら納得して進めることが大切です。

会社設立東京スマイル(ミネルバ税理士法人)では、お客様の現状を丁寧にヒアリングし、数年先まで見据えた法人成りのトータルサポートを行っています。迷われている方は、まずは一度お気軽にご相談ください。

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