女性が一人会社を設立した時、産休、育休はどうなる?
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今回は、女性が一人会社を設立した際に産休や育休はどうなるのかについてお話しいたします。
法律によると産前産後休業(産休)や育休は、従業員などの「労働者」として会社から雇用されている人が対象となっています。一人会社の経営者(代表取締役)は、「労働者」としてみなされません。
今回の場合では、「労働者」として該当しないため、産休や育休の法的な権利はありません。しかし、産前産後期間中に受けられる制度が3つあります。
① 産前産後休業中の社会保険料免除
産前産後期間中に労務に服さなかった場合、会社や本人ともに社会保険料が免除となります。この制度では、役員報酬の有無に関わらず免除となり、休業などは問われません。
ただし、保険料が免除となる期間は産前産後休業中のみであり、育児期間中の社会保険料は免除とはならないため、注意が必要です。
② 出産手当金
出産手当金とは、出産するために会社を休んだ期間に役員報酬の支払いがなかった場合に元の役員報酬の3分の2に相当する金額が支払われる制度です。しかし、役員報酬の有無によって、調整される場合がありますので、注意が必要です。
申請については、通常、会社側が行っています。自分で行う場合には、健康保険出産手当金支給申請書を加入している健康保険組合に提出する必要があります。注意点として、医師または助産師に必要事項を記入してもらうことが挙げられます。
③ 出産育児一時金
出産育児一時金とは、子供を出産した際に加入している健康保険組合より受け取ることができる制度です。支給額は、一児につき50万円※となっております。申請方法として、直接支払制度があります。
※産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産した場合は48.8万円です。
直接支払制度とは、被保険者を介すことなく、加入している健康保険組合から、直接出産した医療機関等に出産育児一時金が支払われる制度です。医療機関等に直接支払制度利用の申出をし、支払義務委託契約書等にサインを行うことで申請手続きは完了となります。
その他の申請方法として、被保険者が受け取る出産育児一時金を医療機関等が代理で受け取る受取代理制度がございます。直接支払制度を導入していない一部の医療機関等などで利用される制度となっております。
その他には、育児支援制度について社労士や税理士などの専門家に相談することも有効です。
今回紹介した制度を利用することで、高額な出産費用をカバーすることができますので、ご参考にしていただきますと幸いです。