新規事業を始めるときに、既存の会社でやる?それとも新しく会社を設立する?
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こんにちは。ミネルバ税理士法人です。
このブログでは、「会社設立」や「起業」に関するノウハウやポイントを、わかりやすくご紹介しています。
既存事業とは全く異なる新規事業を立ち上げる際に、既存の会社で始めるべきか、それとも新しい会社を設立すべきか、お客様からご相談をいただいた事例がありました。そこで「税金面」「経理資料の整理面」「経営面」の3つの視点からそれぞれのメリット、デメリットを整理しました。ぜひ参考にしてください。
1. 税務面
税務上のポイントは、赤字の扱い(損益通算)と消費税の取り扱いです。
既存会社で行う場合
既存会社で新規事業を行うメリットは、損益を通算できることです。
新規事業が立ち上げ初期に赤字になったとしても、その損失を既存事業の黒字と相殺できるため、法人税の負担を軽くすることができます。
一方で、既存会社が既に消費税の課税事業者である場合は、新規事業の売上も同様に課税対象となり、免税の恩恵を受けられません。
新会社を設立する場合
新しい会社を設立するメリットの一つは、設立から一定期間、消費税が免税になる可能性があることです(資本金や売上高などの要件によります)。これにより、初期の資金繰りに余裕が生まれるケースもあります。
ただし、新会社で赤字が出ても既存事業との損益通算はできません。また、会社設立時には登録免許税などの初期コストがかかるうえ、赤字でも必ず法人住民税の均等割が発生します。
2. 経理・事務面
この視点では、管理コストと損益の明確化がポイントになります。
既存会社で行う場合
既存会社で実施する最大のメリットは、事務作業の効率化です。帳簿や申告は1社分で済むため、経理・総務などの管理業務を一本化でき、人件費や税理士報酬などのコストを抑えることができます。
ただし、既存事業と新規事業の経費をきちんと分けて管理する必要があります。
特に家賃や光熱費などを両事業で共用する場合は、合理的な基準で按分しないと正確な損益が見えにくくなります。この点で、管理がやや煩雑になる可能性があります。
新会社を設立する場合
新会社を設立した場合のメリットは、事業ごとの損益が明確になることです。
会社を分けておけば、どの事業がどれだけ利益を出しているかが一目で分かり、経営判断がスピーディーになります。
新会社を設立した場合のメリットは、事業ごとの損益が明確になることです。会社を分けておけば、どの事業がどれだけ利益を出しているかが一目で分かり、経営判断がスピーディーになります。
3. 経営面
経営上の論点は、既存事業の信用力を活かすか、リスクを切り離すかです。
既存会社で行う場合
既存会社には、これまで築いてきた信用力と実績があります。
それを活用できるため、金融機関からの融資を受けやすく、取引先との交渉もスムーズに進むのが大きなメリットです。
ただし、新規事業がうまくいかなかった場合、その損失が既存事業の財務にも直接的なダメージを与える点には注意が必要です。事業のリスクを分けずに一本化している分、会社全体の信用に影響する可能性があります。
新会社を設立する場合
新会社設立の最大のメリットは、リスクの遮断です。もし新規事業で大きな損失が出ても、既存会社に直接的な影響は及びにくく、グループ全体の安定を保ちやすくなります。
また、事業ごとの損益が明確になるため、将来的に事業売却(M&A)を検討する場合にも有利です。
デメリットとしては、新会社は設立直後は信用力が低く、金融機関からの融資を受けにくい場合があります。また、既存会社が築いてきたブランドや取引先との信頼関係を、新たに一から構築し直す手間も発生します。
まとめ:最適な選択をするために
新規事業の立ち上げは、税金・経理・経営のバランスを踏まえて検討することが大切です。
どちらが有利かは、事業の内容や利益規模、今後の展望によって異なります。それぞれの特徴を理解し、自社にとって最も適した形を選ぶようにしましょう。
今回の記事が皆様のお役に立てると幸いです。疑問点やさらに詳しく知りたいことがありましたら、ぜひお気軽にLINEの無料相談をご利用ください。ミネルバ税理士法人の専門家が、あなたのビジネスを全力でサポートいたします。

