不動産投資による節税効果と法人化について
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昨今、日本では金融緩和政策により、不動産の価格が上がる一方でローンが低金利で組みやすい傾向にあります。
このような近年の傾向を踏まえ、「サラリーマン(個人事業主)の傍ら不動産投資で節税を図りたい」、「所有不動産が増えてきたため、法人化をしたい」とお客様から弊所にご相談をいただく機会が増えております。
しかし、本ブログを閲覧いただいている方の中には
「不動産投資でどのような節税効果が図れるのか」
「不動産投資で法人化をするべき基準及びその理由はなぜか」
と疑問を抱く方もいらっしゃると思います。
そこで、今回のブログでは不動産投資による節税効果とその法人化についてお話します。
不動産投資の知識があまりない方でもわかりやすいように専門用語の解説も記載しております。
ぜひ最後までご覧ください。
不動産投資による節税効果
不動産投資の最もたる節税効果として、不動産所得が給与所得と損益通算が可能であることが挙げられます。
損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のもの〔中略〕についてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することです。
即ち損益通算とは、投資に係る諸経費を家賃収入から差し引き、赤字となった不動産所得を更に給与所得から差し引きができるということです。
不動産投資における諸経費は、例として次のような項目が該当します。
- 修繕費用
- 管理費
- 損害保険料(火災保険・地震保険)
- 租税公課
- 借入利子
- 税理士費用
- 減価償却費 …等
これらの諸費用の中で、特に注目すべき項目として減価償却費があります。
損益事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。〔中略〕減価償却とは、減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続です。
即ち減価償却とは、建物の購入代金を一括して費用とせず、毎年分割して経費計上する仕組みを指します。
経費計上できる期間は建物の構造ごとに税法上で定められています。
言い換えると、実際にその年に費用として発生しない経年劣化した部分を経費計上できるということです。
注意すべき事項として、土地の購入代金については建物と異なり、経年による減価はしないとの理由から減価償却の対象外とされています。
不動産投資の法人化と節税効果
前章では不動産投資の節税効果についてお話しましたが、「個人と法人どちらの事業形態がより節税できるのか」という新たな疑問が生じる方がいらっしゃるかと思います。
そこで、本章では法人と個人の節税効果を比較検討していきます。
『5つ』の節税効果
法人化した場合に享受できる節税効果は主に5つあります。
1つ目の節税効果は、納税額を抑えられることです。
個人の場合、所得が増えると累進課税が適用されて税率が高くなる仕組みとなっており、おおよそ5%から45%課税されます。
一方で法人の場合には累進課税が適用されず、おおよそ15%から23.2%の課税となります。
したがって、所得が多くなるにつれて個人より法人の方が節税できると言えます。
2つ目の節税効果は、経費の範囲が拡充することです。
一例として保険料が挙げられます。個人の場合、生命保険料は経費にできません。そのかわり、所得控除が年間12万円まで可能です。
一方で法人の場合には経費にできるものがあります。
経費に含められるか否かの判断については、税理士に相談するのが安心です。
3つ目の節税効果は、損失繰越期間(赤字)が延長されることです。
個人の場合、青色申告を行うと翌年以降3年間繰越が可能です。
一方で法人の場合、10年間繰越が可能です。
但し、個人で赤字の場合は所得税が発生せず、住民税が非課税となりますが、法人の場合には赤字または黒字を問わず、法人住民税均等割が発生します。
4つ目の節税効果は、相続税対策ができることです。
個人の場合、不動産の相続にあたって相続税が課せられます。
一方で法人の場合、不動産の所有者は法人であるため、代表者に万が一のことがあったとしても相続税が発生しません。但し、代表者が法人の株式を所有している場合、その株式について相続税が課税されますので注意が必要です。
5つ目の節税効果は、融資が受けやすいことです。
個人の場合、ローン完済までの年齢制限が設けられていることがありますが、法人の場合には年齢制限がないため、融資が受けやすく不動産の調達がしやすいです。
また、融資の審査をするにあたり個人と法人では決算書の情報量の差が大きく、一般的に信用力は個人よりも法人の方が高い傾向にあります。
法人化によるメリットとデメリット
これまで述べてきたとおり、不動産投資における法人化の節税効果(メリット)は多く挙げられます。
しかし、メリットがある反面デメリットもあります。
デメリットの一例として、法人化するにあたり設立等の諸費用がかかることが挙げられます。
また、法人化したことでかえって納税額が高くなるケースもあります。
そのため、法人化を視野に入れる場合には税率のシミュレーション比較等まずは税理士事務所に相談するのが望ましいと言えます。
総括
不動産投資は上手く運用することで節税効果が期待できます。
しかし、「投資」には一定のリスクが伴います。
目先の利益だけにとらわれず、日頃から資金管理をすることが大切です。
また、多種多様な税金に関する仕組みを理解することは一筋縄ではいきません。
そこで税金に関する悩みを解決へ導き、資産管理のお手伝いをさせていただくのが私たち税理士事務所の役割であると考えております。
弊所における不動産業界の法人化等に関する具体的な手続きについてはこちらよりご覧いただけます。
是非、ミネルバ税理士法人、会社設立東京Smileへお気軽にお問い合わせください。
※本ブログは不動産投資に関する情報提供を目的としております。最終的な投資の意思決定はご自身の責任の下ご判断ください。
参考
国税庁HP No.5759 法人税の税率
国税庁HP No.2260 所得税の税率
国税局HP 生命保険料控除の限度額計算
国税庁HP No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除