「個人事業主から法人成り、思ってたのと違う!?見落としがちな注意点」
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こんにちは、ミネルバ税理士法人です。このブログでは、「会社設立」や「起業」に関するノウハウやポイントを中心に分かりやすくご紹介しています。
個人事業主の皆さん、このブログにたどりついたということは「法人成り」「法人設立」を検討しているのではないでしょうか。
法人成りを検討する理由として、「節税」や「信用度の向上」「事業拡大のため」などが考えられますが、今回は個人事業者が会社設立をする場合に見落としがちな注意点について解説します。ぜひ、参考にしてください。
注意点① 役員報酬の設定で失敗
個人事業主の場合、事業で得た収入・お金は経費やプライベートなど自由に引き出して使うことができます。(もちろん、納税資金は確保してくださいね)
これに対して、法人の場合、社長や株主であっても会社が受け取ったお金を自由に使うことはできません。社長がプライベートに使えるのは役員報酬として受け取った金額だけとなります。
この役員報酬の設定を誤ると、赤字になってしまったり、生活費が足りなくて思ったような生活ができなかったりしてしまいます。例えば、毎月売上50万円、経費20万円、利益30万円の個人事業主の場合、利益の30万円は全額毎月の生活費とすることができます。
しかし法人では、役員報酬を経費に含みます。また、手取り30万円を叶えるためには社会保険や源泉所得税などを考慮すると額面で約37万円が必要です。さらに、社会保険に加入するので法人での負担額約5万円が発生します。※社会保険料は額面に対して約30%です。役員報酬を支給する場合社会保険への加入は必須となります。
同じ売上と手取りでも法人の場合は売上高50万円、経費62(20+37+5)万円、赤字12万円となります。
上記のように、個人事業主としての売上のまま法人成りすると、個人としての手取りが大幅に減ってしまったり、事業で利益がでなくなったりしてしまいます。
注意点② 手間が増える
法人では社長などが会社のお金を使い込まないように資産の管理を厳密に行う必要があります。具体的には、次のような方法があります。
・法人口座と個人口座を分ける
・レジ現金は出納帳を作成して常に使途を明らかにする
・法人口座からお金を使った場合出納帳などに記録する
このように、帳簿を用意して会社のお金がどのように使われたかを明らかにしておく必要があります。使途が不明な支出は経費計上することができませんし、お金を引き出した人に賞与として支給したとみなされる可能性があります。
また、個人事業主と比較して法人では税務調査が実施される確率が高いです。平均して5年に1度は調査が入るとも言われています。税務調査に備えて帳簿や領収書等の資料を適切に整理保管する必要があるため管理の手間がかかります。
注意点③ 思ったより節税にならない
エンジニアなど法人成りしたが経費があまり発生しないビジネスモデルの場合、予想しているほど節税効果が感じられない場合があります。累進課税である所得税と比べて、法人税の方が税率が低くなるのは利益(所得)が800万円を超えた場合です。利益が少ない場合は所得税よりも法人税の方が負担が大きくなる可能性もあります。
また、法人の場合、「法人住民税の均等割り」が毎年必ず発生します。資本金や事業所の数によって変動しますが、赤字でも最低7万円の納税が必要です。
「こんなはずじゃなかった!」とならないために
個人事業主では法人と比べて税務的にも会計的にも簡易的な処理が認められています。法人では所有と経営の分離(株主と経営者は異なる)という原則に従って法整備がされているため、1人会社であっても個人事業主とは違うということを認識しましょう。
せっかく法人成りしたのに、ずっと赤字で事業拡大どころじゃない、手取りが少なくなって生活が苦しい、自由度が減ってやりにくいなど後悔しないためにも一度専門家にご相談されることをおすすめします。
今回の記事が皆様のお役に立てると幸いです。疑問点やさらに詳しく知りたいことがありましたら、ぜひお気軽にLINEの無料相談をご利用ください。ミネルバ税理士法人の専門家が、あなたのビジネスを全力でサポートいたします。