運送業の会社設立・法人成りする前に気を付けてほしい資金繰りについて
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宅配需要が引き続き増えていることや、インボイス制度の導入により、運送業での会社設立、法人成りの相談が増えています。取引先から2023年10月スタートのインボイス制度がはじまる前に法人化してほしいと言われて法人化する方も急増しています。
運送業は資金繰りで悩む経営者が多い!?
運送業で法人成りや起業される方は多いのですが、他の業界に比べて、運送業は資金繰りの安定が難しい業種だと考えられています。依頼が増えて売上が伸びれば伸びるほど、それに合わせて人件費も増加し、ガソリン代の経費も増えてしまいます。また、売上が入金されるまでの日数も他業界に比べて長いため、資金がショートしやすくなっています。
運送業が資金繰りの安定が厳しいと言われている理由
・人件費、ガソリン代、高速代等の経費が先に出るが、売掛金が入金されるまで時間がかかる
・事故、故障などにより急なお金が出ていく
・トラック、車などの定期的なメンテナンス費用が発生する
・ガソリン代の高騰
・人材不足による人件費高騰及び求人費の発生
また、上記以外にも、物流業界の2024年問題の影響も今後出てくると考えられています。2024年問題とは、2024年4月1日から「自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制」が適用されることにより、1日に運べる荷物の量が減少し、時間外労働代にも見直しがかかり、会社として収入が減り経費が上乗せになることが予想されています。
2024年問題もふまえたうえで、継続的に利益を出し続け、資金繰りが安定するように事業を行わなければなりません。
資金繰り悪化の具体例
実際の資金繰り悪化の要因をケース別にみてみましょう
「一人親方タイプ」のケース(本人がドライバーであり経営者でもあるケース)
インボイス制度の実施に伴い、元請けから法人になり課税業者になることを求められるケースが最近目立ちます。
個人事業の時は、売上=自分の収入でした。自分の収入からガソリン代や高速代金などさまざまな経費を支払い 残ったものが自分の使えるお金としてきました。
それが消費税の課税業者の法人になると、消費税の支払いや様々な管理経費がかかるようになります。消費税の支払いが発生するため、今まで個人事業でトントンだったものが赤字になり、消費税の支払いが資金繰りを圧迫します。さらに役員報酬以上にお金を会社から引き出すと役員貸付となり、資金繰りをさらに圧迫します。
売上 550万円 税込み
売上原価 300万円 役員報酬=社長の給料
売上原価 40万円 車両費用(償却又orリース料)
売上原価 40万円 ガソリン代+高速代
粗利 170万円
地代家賃 60万円 自宅の一部
交際費 30万円 営業経費
通信費 20万円 携帯代金
支払手数料 30万円 税務など管理費用い
その他 10万円
租税公課 30万円 支払い消費税
営業利益 ▲10万円 赤字
ここでのポイントは個人事業の時と比較して、売上を税抜きで考えること、個人事業の時より売上が10%ダウンしていると考えることが重要となります。
外注ドライバーを使って売上を束ねるケース(本人が営業や運行管理に徹する場合)
社長はドライバーとしては行動せず、営業を担当し、外注のドライバーを使って仕事を受けるケースがあります。
その傾向を見ると売上額の10% を上乗せして自分の利益とする方が多いように思います。法人化をして消費税課税業者になった場合、同様にシミュレーションでみてみましょう。
売上 1650万円 税込み
売上原価 1485万円 外注費
粗利 165万円
地代家賃 60万円 自宅の一部
交際費 30万円 営業経費
通信費 20万円 携帯代金
支払手数料 30万円 税務など管理費用い
その他 10万円
租税公課 15万円 支払い消費税
役員報酬 X万円 給与は出ません!
営業利益 0万円
自分の給与は出せない、出した分だけ赤字になることが分かります。そもそも10%の利益率自体が問題です。自分のお給料がきちんと出る売上確保が必要となります。0円ではやっていけないため支給した役員給与の分だけ毎年資金繰りが圧迫されます。何のために事業を行うのかが疑問になってしまいます。
資金繰りを安定させる方法
資金繰りを安定させるためには、以下のような方法が存在します。
運送業の資金繰りを安定させる方法
1.資金繰り予定表を作成し、お金の流れを見える化する
2.支払・入金サイトを見直す
3.融資の検討をする
4.資金繰り予定表どおりに進んでいるか確認する
1.資金繰り予定表を作成し、お金の流れを見える化する
資金がショートしないようにするために、必要なことは資金繰り予定表を作成することです。お金がいつ入ってお金がいつ出ていくのか、残りのお金はどのくらいあるのかということを毎月把握できるようにしましょう。会社設立費用、事務所契約費用、備品購入費等事業開始前後には様々な費用が発生します。できるかぎり経費関係は全て記入して、どのくらいお金が出ていくのかを確認しましょう。2024年問題のことも考え1~3年先まで作成しておくと安心です。
資金繰り予定表を作成することで、お金がショートしそうなタイミングが分かり、対策することができます。
2.支払・入金サイトを見直す
資金繰り表を作成し、いついくらのお金が入って出ていくのかを把握したら、入金サイトや支払サイトを変更できないか検討しましょう。入金についてはできるだけ早めに入金してもらえるようにし、支払いについては後ろに伸ばせるようにした方が事業開始時の手元資金を厚くすることができます。
3.融資を検討する
支払、入金サイトも見直しが完了し、手元資金に余裕がないと感じたら、融資を検討しましょう。融資面談後から入金まで約2カ月かかるため、融資をお考えの方は早めに申請することをおすすめしています。融資は、自己資金や業界経験・経営者の過去の経歴、事業計画書の内容によって受けられる金額が変わります。融資申請時には、作成した資金繰り予定表をもとに、いついくらお金が必要で、いつからお金を返せるのかということを説明しましょう。
4.資金繰り予定表どおりに進んでいるか確認する
事業が開始したら、実際に資金繰り表どおりにお金が回っているかを確認してください。計画書はつくって終わりではなく、作った計画書どおりに事業が進んでいるかを定期的に確認することが重要です。もし、立てた資金繰り予定表とは違う結果になっていた場合は、すぐに対策をしましょう。
会社設立東京スマイルの運送業サポートについて
会社設立東京スマイルでは、数多くの運送業のお客様をサポートしております。事業計画書及び資金繰り予定表の作成方法のフォローや融資相談についても初回無料面談を行っています。運送業で独立をお考えのお客様はお気軽にご相談ください。