会社設立する際におさえてきたい用語集
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シード資金
シードとは英語のseed(種)のことで、企業のシード期とは会社の成長段階の区分のうち、設立前~設立間もない時期のことを指します。シード期は様々な出費や投資開発が必要なことから、シード資金をどうやって調達するのか、どう使うのかを予め考えておくことが重要です。シード資金が乏しいと資金繰りが回らず、最悪倒産してしまいます。
シード資金の調達方法としては、①出資②融資③クラウドファンディングなどが選択肢となります。事業の将来性や安全性を論理的、客観的に説明できることがこれらの資金調達のポイントと言えるでしょう。
シリーズA
投資家が企業に投資する段階である投資ラウンドのうち、シード期を終え、企業のサービスやプロダクトが市場にリリースされてターゲット層とマッチした(これをプロダクトマーケットフィット「PMF」といいます)ステージのこと。
スタートアップ企業にとっては注目度が高まる時期で、投資家にとっては事業の成長性を見極める重要なタイミングです。最初の本格的な資金調達になることも多いため、明確な事業計画やビジネスモデルの確立、競合分析などが重要です。
デューデリジェンス
投資やM&Aを行うにあたって、投資・対象となる企業や投資先の経営・財務状況や価値、リスク等を調査および評価すること。
英語でDue Diligenceと表記され、due(当然行われるべき)diligence(尽力・努力)という語意から来ています。「DD」や「デューデリ」と略されることも。事業承継などでは相手事業をそのまま承継することもあるため、会計以外でも、税務、法務、労務面など様々な観点からの調査が必要になり得ます。
エンジェル投資家
エンジェル投資家とは、創業間もないベンチャー企業やスタートアップ企業へ個人として資金を提供する投資家のことで、十分に実績を上げておらず、銀行融資等に期待できない企業にとって強力な支援者ということになります。
彼らの目的の一つには、次世代の起業家を応援することがあります。将来有望な若い起業家による未だ見ぬ革新的なビジネスモデルの誕生に期待して資金提供を行います。
また、成功の可能性を高めるために、経営上のアドバイスや人脈の紹介など、資金以外の支援も行うことも特徴となります。
エンジェル投資家は、銀行融資やベンチャーキャピタルに頼る前の資金調達手段として重要な役割を果たし、起業家にとっての第一歩の支えとなることが多いです。
ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタル(VC)とは、主に新設企業や新興企業に対して資金を提供する投資会社または投資ファンドのことです。VCは、革新的な技術やサービスを持つ企業を対象に、株式や持分を取得する形で資金を提供し、その成長を支援します。
VCは株式の譲渡益の一部を成功報酬として受け取るため、企業価値の向上を図り、投資先企業に対して積極的に経営上のアドバイスや人材紹介等の支援を行います。
VCは、上記のエンジェル投資家よりも資金規模が大きく、投資後の経営支援が組織的かつ専門的である点が特徴であるため、起業家にとってエンジェル投資家に続く重要な役割を担っています。
ピッチ
ピッチとは、起業家がエンジェル投資家やVCに対して事業やアイデアを簡潔かつ魅力的に伝え、資金調達や協力を求めるためのプレゼンテーションのことを指します。 ピッチでは、ビジネスモデル、ターゲット市場、競争の優位性、収益計画など自社の魅力を短時間で明確に伝えることが必要となります。
特に「エレベーターピッチ」と呼ばれる数十秒から数分の短い形式のピッチにおいては、出資者の関心を引きつけるインパクトが最も重要となります。「エレベーターピッチ」は自分の考えを整理でき、より良い提案へとつながります。また時間を有効活用でき、あらゆるコストを削減することも可能となります。
成功するピッチは、聞き手に企業の価値を理解させ、共感や信頼を得るために、スライドや視覚資料を使った数字的な裏付けだけでなく、事業に対する熱意や説得力ある話し方も鍵となります。そのため、起業家にとって、ピッチは資金調達の初めの一歩として重要な役割を果たします。
エクイティファイナンス
資金調達において、企業が株式を発行することで資金を集める方法です。「エクイティ」とは株式を意味します。企業は新たに株式を発行し、投資家がその株式を購入することで資金を調達します。出資者は「株主」となり、企業の所有権の一部を得ます。
メリットとして、融資とは異なり、返済の義務がなく経営者の負担が少ないことなどが挙げられます。一方デメリットとして、株式を発行することで第三者に経営権が分散されてしまうため、経営者の自由度が低くなる可能性があります。
また、エクイティファイナンスで資金を調達する際には、新株発行により1株当たりの価値が薄まってしまいます。既存の株主へ十分な説明を行い、理解を得ることも重要な要素の1つです。⇔「デッドファイナンス」
デッドファイナンス
資金調達において、借入によって資金を調達する方法です。「デッド」とは負債を意味します。企業は融資を受け、一定期間内に元本と利息を返済する義務を負います。
株式を発行しないため、経営権が分散せず、経営者が主体として経営を続けられることなどがメリットです。デメリットとしては、返済義務があるため、一時的に手元資金が増えても、毎月の返済、利息の支払によって将来的に資金繰りが厳しくなるリスクがあります。
また返済が滞った場合には、一括返済の要求や、今後融資を拒否される可能性があります。デットファイナンスでは、常に返済を意識した資金繰りの計画を練っておくことが重要になります。⇔「エクイティファイナンス」
バリュエーション
企業の価値を算定することを指し、「企業価値評価」や「価値算定」とも呼ばれます。企業の市場価値や、将来の成長性を評価するもので、投資家が企業へ出資する際や、M&A(合併・買収)の際に、企業がどれくらいの価値を持つかを測る重要なプロセスです。
スタートアップ企業は、資金調達を成功させるためにバリュエーションを行うことが重要になります。
主に企業の将来の収益や成長性、市場動向、業界の競争環境などを考慮して算出されます。
バリュエーションを通じて企業としての価値が明確化・可視化され、この評価額をもとに、エクイティファイナンスを通じて調達する資金の額や、企業買収時の価格が決定されます。この価値は、企業の将来の成長や業界の変動に応じて変動することがあり、定期的に再評価することが重要です。