「社長一年目の起業家が試算表で見るべき経営指標とは?」
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このブログでは、「会社設立」や「起業」に関するノウハウやポイントを中心に分かりやすくご紹介しています。今回は「社長一年目の起業家が試算表で見るべき経営指標とは?」について整理してみました。ぜひ、参考にしてください。
会社を起業してから、銀行の口座に残っている金額だけで今月の資金繰りを判断されている経営者の方も多いかと思います。
試算表に記載されている勘定科目をみて、どこをどう見ればよいのかわからないから放置していないでしょうか。
今回は、社長1年目の起業家の方に、ここだけは見ておいてほしいというポイントを、実際の数値をもとにご説明をさせていただければと思います。
①キャッシュの寿命
「今日から売上が完全にゼロになった場合、会社はあと何ヶ月生き残れるか」という指標となります。
計算式: B/Sの「現預金」 ÷ P/Lの「販売管理費(+毎月出る原価)」
目安としては、最低でも販売管理費の3〜6ヶ月分のキャッシュは手元に残しておかないと、追加で融資を受ける前に資金が尽きてしまいます。
②売上総利益率(粗利益率)
「その商売、そもそも事業を行う価値のある利益率になっているか?」を見る数字です。値引きしすぎたり原価が高すぎたりすると、どんなに頑張っても、オフィス代や給料を払う前の段階で利益が消えてしまう可能性があります。適切な売上利益率を導くために必要な指標です。
計算式: (売上総利益 ÷ 売上高)× 100
目安としては、飲食なら70%、小売業なら30%、建設業なら25%以上を目指したいところです。
③損益分岐点売上高
「赤字にならないための最低ライン」の売上です。人件費や家賃などの固定費を増やすほど、このハードルはどんどん高くなります。
計算式:固定費 ÷ 限界利益率
限界利益率とは、売上高から「変動費(原材料費や外注費など)」を差し引いた利益の割合( (売上高 – 変動費) ÷ 売上高 )のことです。
今の売上がこのラインを余裕で超えているかを確認しましょう。
実際の売上が損益分岐点をどれくらい上回っているかを示す「安全率」で言うと、10〜20%が標準、20%を超えているとかなり安全圏と言えます。
④回収と支払いのタイムラグ(売上が入る前に出ていっていないか?)
売上を出しても、実際に口座にお金が入ってくるまでには時間がかかります。
売上の回収よりも、仕入や外注費の支払が先に来る状態が続くと、帳簿上は黒字でも手元の現金が底をつきます。
見るべき数値:B/Sの「売掛金」と「買掛金」
「支払いの猶予期間 > 回収にかかる期間」のサイクルを保てているか、またはそのズレを埋めるだけの現預金が手元にあるかを確認する必要があります。
【実際の事例】A社(1年目)のケース
内装工事・リフォーム業で独立したA社(創業6ヶ月目)の実際の試算表データを見てみましょう。
A社の月次試算表(概要)
・売上高: 500万円(案件が増えて順調に見える)
・売上原価(外注費など): 400万円(原価率80%)
・売上総利益(粗利益): 100万円(粗利益率 20%)
・販売管理費(固定費): 150万円(役員報酬、家賃、広告費など)
・営業利益: ▲50万円(毎月50万円の赤字)
・現預金残高(B/S): 300万円(創業融資の残りの現金)
・売掛金残高(B/S): 1,000万円(売上回収が2か月遅れのため、蓄積)
・未払金残高(B/S):400万円(外注費支払が1ヶ月遅れ)
数字から判明したA社の事情
1.あと1.5ヶ月で給料すら払えなくなる
毎月150万円の固定費に加え、外注費の支払い先行が発生。毎月50万円の赤字を垂れ流しており、手元現預金300万円は1.5ヶ月〜2ヶ月で完全に底をつく計算でした。
2.案件を増やすほどキャッシュアウトが加速
A社は「元請けからの入金が2ヶ月後」に対し、「下請けへの支払いが1ヶ月後」という条件でした。売上が伸びて外注費(毎月400万円)が増えれば増えるほど、入金より先に外注費を自腹で立て替える形になり、手元の現金が一気に枯渇していたのです。
3.固定費に対して粗利益が足りていない
毎月150万円の固定費を賄うには、粗利率20%の場合、最低でも「毎月750万円(150万円 ÷ 0.2)」の完成工事高が必要です。500万円の売上ではやればやるほど赤字でした。
A社が手遅れになる前に行った「改善策」
1.元請けへの条件交渉(着手金・中間金の導入)
規模の大きい案件については「着手時30%・完成時70%」など、着手金をもらう条件に変更し、自社での立て替え期間を短縮しました。
2.見積もり精度の見直しと単価アップ
粗利益率20%では固定費を賄えないため、積算を見直して粗利率25%以上を確保できる案件に絞り込みました。
3.公庫へ繋ぎ融資の申請
売上増加に伴う「必要な運転資金(立て替え資金)」として、日本政策金融公庫に追加融資を申請。現預金を確保して資金の寿命を半年以上に伸ばしました。
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